り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

映画評 / スタジオジブリ『君たちはどう生きるか』

映画『君たちはどう生きるか』が描くものたちの尊さと「母」について

こんにちは。り📚書評家です。

みなさまいかがお過ごしですか。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

今回の独自評論はこちら。

映画『君たちはどう生きるか』をレビューします。言わずもがなのスタジオジブリ宮崎駿監督による最新作です。

君たちはどう生きるか』をもう観たよという方にも、これから『君たちはどう生きるか』を楽しむ予定だよという方とも感想をシェアできたら嬉しいなと考えています。



スタジオジブリの映画とわたし

わたしが記憶している中で、スタジオジブリの映画とは「既作を自宅で楽しむもの」でした。

これまで観てきたスタジオジブリの映画たちは、わたしが生まれる前や大人になる前に作られたものがほとんどだったかなと思います。

大人になって、新作を、映画館で見るというのは初めての体験でした。とてもドキドキしました。

 

【1年の幕開けに本物のグルメを】

それに、原作をあらかじめ読んだことのあるスタジオジブリ作品は今回が初めてだったと記憶しています。

岩波書店より様々なバージョンが刊行されている『君たちはどう生きるか』は、吉野源三郎さんによる名著です。

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この書籍『君たちはどう生きるか』が、どのようにスタジオジブリの映画として生まれ変わるのか。

 

わたしはとても楽しみにしていました。

ここからはとても奥が深かった映画『君たちはどう生きるか』のわたしの見解と感想にお付き合いいただけましたら嬉しいです。

 

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君たちはどう生きるか』の大人と子ども

映画『君たちはどう生きるか』はマヒトさんが母を無くすところから物語がスタートします。

父と暮らすことになったマヒトさんは、母となる人を紹介され、共に新しい家で暮らすこととなりました。

 

マヒトさんは母となる女性・ナツコさんを初めて見たときに

「母さんとそっくりな女性だ」

というような内容のことを言っていたと思います。

 

ここで視聴者が得ることができる情報は、マヒトの父が「亡き妻とそっくりな女性と恋に落ちた」か「亡き妻の血縁と再婚をしたか」のいずれかではないかと想定するに値するものです。

 

実はこの先もマヒトさんはナツコさんのことを様々な場面で

「父さんが好きになった人」

と紹介し、言い表していきます。これはどういうことでしょうか。

 

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ナツコとマヒト

わたしがこれらを見て感じていたのは、マヒトさんにはナツコさんと生みの母の関係が明かされていないのではないかなということでした。

本当に偶然に知り合い、父とナツコさんが恋に落ちたと思っているのではないでしょうか。

そうなると「亡き母の面影を父もまた求めている」と感じたかもしれません。

 

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おそらく、マヒトさんは父やナツコさんに詳しい話を何も聞かされていないのではないかと感じました。

こうして大人が子どもに対し隠し事をする様子は、スタジオジブリの映画作品にはよくみまれる風潮ではないかとわたしは感じています。

 

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小さな大人として接しないこと

大人に対する子どもの捉え方にはいくつか考え方があると思います。

未成熟で幼い、大人の前段階だと考えるのがひとつ。

そしてそれに対抗するのが、小さな形をした大人であるという考え方ではないでしょうか。

 

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体は小さくとも様々なことを考えているし、独自の感性を持っている。

その磨き方を委ねられているのが保護者の役割であるというものです。

後者はより近代的な思想ではないかとわたしは思っています。

スタジオジブリの作品は多くが昭和あたりを想定しているのではないでしょうか。

戦前や、戦時中の作品も多いです。

 

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勝手な想像ではありますが昭和の家庭感とは、親と子の間に圧倒的な壁があったのではないかと感じています。

 

自分の親に敬語を使い、親の言うことは絶対だった時代なのではないでしょうか。

逆に事もに対するすべての権利が親である自分にあると捉えている親も多かったかもしれません。

 

スタジオジブリの映画には、そうして子どもと必要以上に目線を合わせない大人たちが登場するとわたしは感じています。

 

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子どもと目線を合わせない大人たち

映画『君たちはどう生きるか』の特に前半部分をピックアップしていきましょう。

まだ大きな事件が起こらず、比較的穏やかな日常が描かれているためです。

 

映画『君たちはどう生きるか』の前半部分で、ナツコさんやお父さんがマヒトに対して発することばにいくつか違和感を覚えた方がいるのではないでしょうか。

 

かれら大人たちは、マヒトさんに物事を1つひとつ順番に説明していないのです。

結論に至るまで、もしくは会話の最後の一言に至る直前の説明を2つや3つ、飛ばしています。

そうしてその猜疑の一言になるのか、微妙に繋がりがありません。

 

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それは意味深なメッセージを宮崎駿さんが込めているとも解釈できますし、大人たちがポロリと心中を溢しつつもすべてを子どもに語らない姿勢を表していると解釈する事もできる気がしています。

君たちはどう生きるか』をはじめとするスタジオジブリの映画において、親と子の関係性は深く考えるべき要素ではないかと感じました。

 

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君たちはどう生きるか』における母の存在

同時に気になったのが「母」たちの存在です。

スタジオジブリの作品において「母」とはどのような存在なのだろうと考えることが、スタジオジブリ作品の紐解きには欠かせないような気がしました。

 

映画『君たちはどう生きるか』では、「生命が生まれる前」と「生まれた後の人間界」、そして「亡くなった先の世界」が区別されていたように思います。

行き来することができる場合もありますが、基本的に3つの世界線は混じり合いません。

 

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天国からの扉

映画『君たちはどう生きるか』の後半には、混じり合わない世界線を繋ぐ大量の「扉」が登場します。扉の外には生まれた後の人間界が開けています。

 

扉の内側から行き先を選ぶことはできますが、扉の外側からは扉そのものが透明化しており見えません。

これは現世と幻世(生前と生後を合わせた世界)をダイレクトに繋ぐ存在です。

つまり映画『君たちはどう生きるか』の中においてこの扉があれば、生き物は事実上、生を受けることができるのです。

 

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魂であるワラワラの存在

映画『君たちはどう生きるか』には様々な生き物の大群が登場しますが、その中で一番恐ろしさがない大群が「ワラワラ」という白くてふかふかとした生き物たちです。

ワラワラは月の光を浴びて膨らみ、空へ旅立っていきます。

その先は人間として現世へ生まれるのだそうです。

 

この場面でコウノトリのようなくちばしを持つ鳥の大群が登場します。

かれらはワラワラをくちばしに隠してお母さんのお腹の元へ運んでくれるのでしょうか。

 

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そうではなく悪役に当たる鳥たちはペリカンなのですが、この場面で「コウノトリ」を連想した人は多いのではないかと思います。

 

ワラワラは赤子の因子として映画『君たちはどう生きるか』に登場します。

そして生まれるためではなくとも、コウノトリのくちばしのような中に収まる瞬間があります。

 

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失踪したナツコさん

映画『君たちはどう生きるか』の中でマヒトさんの母となったナツコさんが、姿を消してしまうシーンがあります。

マヒトさんはナツコさんを探します。その先でナツコさんはマヒトさんの下の兄弟に当たる赤ちゃんを出産することとなります。

 

この前後では不思議なことがたくさん起こりますが、どの事象に置いても「赤子を腹に宿しているナツコさん」は慎重に扱われています。

 

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危険に晒されることもなければ、出産が大きな何かとして扱われます。

この世界の中において出産はとても重要視されているのです。

 

しかし、人の子の魂とは「ワラワラ」という別の存在があって、人のお腹の中でぽんと生命が産まれるわけではなさそうだったことを忘れてはいけません。

 

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男児を授かった母たち

天国からこの世への扉が分岐しているとしたら。

人の子の魂「ワラワラ」を育む存在が母とは別にあるとしたら。

命になる魂を食べ尽くしてしまうためペリカン(=コウノトリを連想させる対照物)が存在するとしたら。

 

宮崎駿さんの作品において「母」の存在は、役割は、一体どこにあるのでしょうか。

宮崎駿さんにとって「母」とはどのような存在なのでしょうか。

 

【1年の幕開けに本物のグルメを】

特に男児を授かった母たちの存在が大きいようにわたしは感じています。

 

母たちの存在を考察することこそ、スタジオジブリの作品や、映画『君たちはどう生きるか』を自分なりに紐解く本当の楽しさとなるのではないかと思っています。

 

【お得にたっぷり読書しよう】

終わりに📚

今回は映画『君たちはどう生きるか』の独自映画評を公開しました。

いかがでしたでしょうか。ぜひみなさんの『君たちはどう生きるか』論もお聞かせいただけると嬉しいです。

 

このブログも日々、たくさんの方に読んでいただけているようでありがたいです。

おかげさまでアクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

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とても嬉しいです。どうもありがとうございます!

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以上、り📚書評家でした~!

 

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