書評 / ジェニファー・ニーヴン『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』

恋と死の交差点のものがたり『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』。

こんにちは。り📚書評家です。

みなさまいかがお過ごしですか？

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本日の独自書評はこちら。

ジェニファー・ニーヴンさん著の海外翻訳小説『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』をレビューします。

2人の男女が、ある独特なシチュエーションで出会い恋に落ちていくボーイ・ミーツ・ガール小説です。

辰巳出版さんから刊行されています。

僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと

僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと [ ジェニファー・ニーヴン ]

屋上での自殺未遂現場

この小説『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』は、主人公セオドアが自殺願望を胸に建物の屋上へ飛び出していく場面に始まります。

そしてそこで、同じように自殺寸前のところで踏みとどまっていた異性ヴァイオレットと出会うのです。

このような状況のボーイ・ミーツ・ガールは、2人をどのような世界へ連れていくのでしょうか。

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学内カップルの恋の魔術

同じ学校の生徒同士である若い男女・セオドアとヴァイオレットは、急速に距離を縮めたり

周りの人にひやかされたりと、忙しい毎日を過ごします。

たのしい薔薇色の毎日。

ほんの少し前に自分が死のうとして屋上に飛び出していったことなど、本人たちにとっても信じられなかったのではないでしょうか。

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恋人への恋心を抱きながら、時にちょっぴり大人な作用をする恋の魔術。

この先この2人は一緒に生きていくのかな。読者はそう感じることでしょう。

本当にたのしい毎日だったはずです。

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タイトル『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』

タイトルの「ずっと求めていた本当に素晴らしいこと」とは、何だと思いますか。

主人公のセオドアが求めていたものは「最愛のガールフレンド」ではありません。

「ガールフレンドとの薔薇色の日々」でもありません。

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それは「この人のために強くありたい」「この人のために変わりたい」と思わせてくれる「何か」だったのです。

これは主人公がパートナーをとても大切に思っているからこそ湧き上がってくる感情でしょう。

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大切な人のために最も強くなれる

人は、人のために1番強くなれるとわたしは考えています。

自分のために発揮する力よりも、誰かのために発揮する力のほうがずっと大きいはずです。

その「誰か」は、自分の大切な人であればあるほどより大きな力を発揮することができます。

屋上から飛び降りて死ぬことを考えていた10代の子どもたちが大切な人と知り合ったときに、その状況から前に進みたいと願い出していくのが『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』という小説です。

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しかし、2人の心の動きは異なる方向へ進んでいきました。

セオドアは次第に、ガールフレンドであるヴァイオレットへの連絡やスキンシップがまだらになっていきます。

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死を考える恋人たち

死を考えるほど心が枯渇していた男女。

しかし男子生徒セオドアの方は「ずっと求めていた素晴らしいもの」を得たという実感を持ちつつも鬱々とした状態を脱することができませんでした。

一方で女子生徒ヴァイオレットは、薔薇色のような日々を送り始めます。

恋人ができたことですべてが明るく染まったのです。

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男女のはざま

わたしははじめ、これを男性性、女性性からくる変化であると見抜きました。

一般的に女性の方が恋にうつつを抜かして心が軽くなりやすいのではないかと考えていたからです。

しかし読後には、彼ら男女の間にはもっと明確な違いがあったのだと感じるようになります。

それが、彼らを鬱々とさせる原因です。

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ナーバスの原因こそ

彼らの落ち込み方を丁寧に読み込むにつれて、わたしの中で達することができた結論がありました。

それが男子生徒セオドアを取り囲むナーバスは彼の先天的気質から来るものであり、

しかし女子生徒ヴァイオレットを取り囲むナーバスは彼女に後天的な後付け理由から付きまとっているものであるということでした。

この世界を生きるすべての人にとって、落ち込むことや悲しむこと、ナーバスになる危険は可能性として平等に与えられているかもしれません。

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その中で不安や落ち込みの要因は大きく2つに分けることができるのではないかと、わたしは考えています。

『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』セオドアの場合

この男子生徒セオドアの先天的なアーバスは、彼の本質から生まれるものです。

考え方の癖や、生育状況、または持ち合わせた才能や障害によって、常にナーバスと隣り合わせの人だったのではないかと考えています。

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『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』ヴァイオレットの場合

一方でこの女子生徒ヴァイオレットを悩ますナーバスは、後天的な外付の原因があるのではないでしょうか。

例えば大切な人と喧嘩をしたり、大切な物をなくしたり。

そうした人生の中で大きな事件があった後の落ち込みです。

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これは外的な要因であるために取り外すことも可能です。

取り外すための方法の1つに、最愛のパートナーとの出会いがあったのではないかと思います。

そのため、ヴァイオレットが自分は恋で救われたように、相手セオドアも恋で救うことができると考えていたことは、大きな誤りだったのではないかと思います。

そして自分が救ってもらったように大切なパートナーを救いたいと思い始めるヴァイオレットは、結局彼を救うことができず失ってしまったことによって、また外的なナーバスの要因を得るでしょう。

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小説のその後を予想する

このあたりで『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』という小説は終わります。

しかしこの続きを、読者は容易に推測することができるはずです。

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つまり彼女はまた、建物の屋上へ足を運んでしまうのではないかとわたしは思いました。

この悲しい屋上でのボーイ・ミーツ・ガールはどちらのことも救うことができず、時計を少し早回しにしただけだったのでしょう。

結果としては何も変わらなかったのかもしれませんが、彼らの心にとって少しの安息や安寧があれば良いなとわたしは思っています。

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愛するものを追って自死する、ロミオとジュリエットの思考とは異なるものです。

なぜならヴァイオレットは、セオドアに会うために亡くなるのではありません。

セオドアに会えなくなった世界に絶望して亡くなるのです。

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その先にはだいすきなボーイフレンドはおらず、希望も未来もありません。

恋に打ちひしがれた男女がともに自死を望むとき。

彼らが求めている行動の本質は、いくつかのパターンに分けることができます。

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反ロミオとジュリエット思想について

ロミオとジュリエットは演劇を始めとても有名な演目です。

わたしもだいすきな作品ですが、しかし、死後の世界に相手を求めて自死をする男女の形にはずっと疑問がありました。

死を考えるほど絶望しているものが、死後の世界に夢を見るでしょうか。

わたしは自死をする人たちの心を慮ると、この作品のあり方はどうなのだろうと考える時があります。

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反ロミオとジュリエット思想のひとつのパーツとして、『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』の物語を紹介しました。

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終わりに📚

本日の独自書評ではジェニファー・ニーヴンさんの小説『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』をレビューしました。

いかがでしたか？

小説『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』にもしご興味を持っていただけたらとても嬉しいです。

僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと

僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと [ ジェニファー・ニーヴン ]

今日のブログはここまでにしようと思います。

このブログも日々、たくさんの方に読んでいただけているようでありがたいです。

おかげさまでアクセス解析を見るのがとても楽しいです。

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