り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 小川哲『君が手にするはずだった黄金について』

反響する鏡に小説の深層を覗く『君が手にするはずだった黄金について』

こんにちは。り📚書評家です。

みなさまいかがお過ごしですか?

 

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本日の独自書評はこちら。

小川哲さん著『君が手にするはずだった黄金について』をレビューします。

 

新潮社さんより刊行されている『君が手にするはずだった黄金について』は、直木賞作家・小川哲さんによる自伝的短編小説集です。

主人公の人柄について

『君が手にするはずだった黄金について』は著者・小川哲、主人公もまた小川哲。

 

そんな主人公の小説『君が手にするはずだった黄金について』はとても聡く、けれども嫌なやつではなくソフトな方向へ万人ズレされている主人公または著者のお人柄をイメージさせる小説でした。

 

わたしは小川哲さんは、頭ひとつ抜けた小説を書かれる方だと認識しています。

そんな小川哲さんが思っていることが100パーセントではないにしろかなり多く含まれているのではないかなと感じさせるのが主人公・小川哲さんの発言です。

 

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直木賞作家の卑下

小川哲さんほどの方が、小説を書くことをこう認識させている。

彼も人もみな、才能に焦がれているらしい。

主人公が就活に、未来に、悩む描写が差し込まれている。

 

ご冗談おやめください!という思いで読みました。

きらきら作家のべつも一面を見ることができるかもしれない小説です。

 

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タイトル『君が手にするはずだった黄金について』

わたしにとって「黄金」とは、「なりたい姿を手にするための手段」かなと思いました。

 

主人公・小川哲がエントリーシートの記入に悩んでいる。

小川哲さんのファンにしてみれば驚きの状態です。

 

しかしよくよく読み進めてみれば、主人公・小川哲さんの悩みとは、普通の就活生の後ろ向きでナイーブな手の止まり方とは異なるようでした。

 

そんな暗いマイナス思考ではなく、素敵なユーモアに満ちている主人公。

小説を読みながら彼のばか真面目さに包まれるのはひじょうに心地が良い時間でした。

 

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鏡のように反響し合う小説

2つ目の短編と3つ目の短編の反響が興味深いなと思いました。

読者の想像力を大いにかきたてるものとなっています。

 

前章に登場した主人公・小川哲の元カノのように合致し、かつ同時にすれ違っている女性「華」さんを改めて主人公にしたのが『小説家の鏡』という3つ目の短編です。

 

そうした主人公「華」を生んだ作家の小川哲さん(もしくは主人公の小川哲の言葉かもしれませんが)の台詞には以下のようなものあります。

 

「作家は、むしろなんの才能もない人間のために存在する職業だ」と。

 

わたしは小川哲さんの小説に惚れ込んでいるので、小川哲さんのことを「なんの才能もない人間」だとは全く思いません。

しかしこの小説集『君が手にするはずだった黄金について』を読んだときに、小説と読者と作家の関係性について自分の中でひじょうにクリアになった部分がありました。

 

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小説における作家と読者の関係性

それは日本のエンタメ小説を中心によくある読者のこころをあたためてくれる小説や和ませてくれる小説というものは、「日本の社会から離れて作家という職をしている者たちが描くからこそ現れる世界観」なのではないかと感じたのです。

 

もしほんとうになんの才能もないとしたら、満員電車に揺られることや就活をすること、他者と囲まれて生きていくことに負担を感じるものたちが作家を名乗っているのかもしれません。

 

そうした現代社会の風化した痛みのようなものを、よりピュアに捉えている作家という人たち。

そんな彼らが一歩引いた目線から、風化した近代社会の痛みを書き表し、さらにそこから人々を救済するように癒しやあたたかさを小説に差し込んでくれているのではないかとわたしは受け取りました。

 

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救済としての小説『君が手にするはずだった黄金について』

エントリーシートに書かされるグラフ。

己の記憶。

鏡に映る自分と反射。

 

まるで精神科医とのカウンセリングのように己を見つめる時間が、この小説集『君が手にするはずだった黄金について』にはたくさん登場します。

 

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自分を見つめるための鏡

自身を注意深く自分を見つめることで、自分のことをまた1つ深く知っていく主人公。

 

さらに、この小説の中に主に登場する2つの職業である「小説家」と「占い師」は、ともに他者を映し出す鏡となる職業だなと思いました。

 

読者がいることによって小説が深みを増し、その人のものになる。

お客さんがいることにより他者の目線を踏まえながら、その人のことをより深く見つめさせる。

 

読者やお客さんにとって自分に偏移してくるような印象さえ与える「鏡のような職業たち」は、自分のことをまた1つ深く知っていく主人公の日々にとても色濃く影を落としているような気がしました。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

鏡のような作家の書く、鏡のような小説

小川哲さんの自伝的小説とも捉えることができる『君が手にするはずだった黄金について』。

そこには、100パーセントの純度ではないにしてもある程度の作家・小川哲さんご本人が主人公・小川哲に反映されているのではないかと思います。

 

この作家と主人公の関係性がそもそも鏡のように反響している小説『君が手にするはずだった黄金について』は、さまざまな鏡を連想させるモチーフを用いて読者に

「読者自身」が、

「小説という本体」が、さらに

「作家という生き物」が、

どのように映るのかを問うているのではないかと感じました。

 

わたしは『君が手にするはずだった黄金について』を読んだものすべてが、自分や世の中の解像度を高めることができるのではないかと信じています。

 

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終わりに📚

本日は『君が手にするはずだった黄金について』の書評をアップしました。

いかがでしたでしょうか?

 

当レビューを元に『君が手にするはずだった黄金について』や小川哲さんに興味を持っていただけましたらとても嬉しいです。

 

今日のブログはここまでにしようと思います。

 

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このブログも日々、たくさんの方に読んでいただけているようでありがたいです。

おかげさまでアクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

とても嬉しいです。どうもありがとうございます!

 始まって間もない小さなブログですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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以上、り📚書評家でした~!

 

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