り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 小砂川チト『猿の戴冠式』

独特な文体で迷いとたのしみを。『猿の戴冠式』

こんにちは。り📚書評家です。

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

本日の独自書評はこちら。

小砂川チトさん著『猿の戴冠式』をレビューします。

講談社さん『群像』に初出の上、単行本化された『猿の戴冠式』。

 

わたしは『猿の戴冠式』を、今回の芥川賞候補作5冊の中で最も「どのように受け止めたらいいのかわからない独特な文体をしている小説」だと感じました。

 

【自分好みのコーヒー、ちゃんとわかってる?】

ボノボのシネノちゃん

類人猿であるボノボのシネノちゃんは特別な訓練を受けていて、もしくは「自分は特別な訓練を受けている」と思い込んでいて、そうしたライフハックのもとに世界を見ています。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

動物園で同じ檻に入る一族。

そこには役割があり、男女の違いがあり、亡くなったものがいるという歴史もあります。

そんな中で暮らしているシネノちゃん。

群れの中でも珍しく、特殊コミュニケーションである手話を披露するシネノちゃんは人間界のテレビのなかで有名になりました。

 

しかし、散々話題にされるだけされた上で、結局人間に馬鹿にされ、笑われてしまうのです。

 

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競歩選手のしふみさん

動物園のシネノちゃんのそんな様子を見ていた、しふみさんという人間がいます。

しふみさんは子どもの頃の発達が遅かったけれども、ごく小さい頃からの記憶がある女性です。

 

本来は競歩選手であり、しかしあるトラブルがきっかけで、自分の世界にこもるようになってしまいました。

そうした時期にシネノちゃんに出会います。

シネノちゃんをあざ笑う人間たちの様子を見て、人間たちの中に「潜在的な罪悪感」 あることを見抜いているのです。

 

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時系列が錯誤する小説『猿の戴冠式』

この小説『猿の戴冠式』の中で、2人が出会うのはごく後半です。

しかしずいぶんと前に、シネノちゃんしふみさんは互いにつながりを感じており、出会っているのだということは読んでいるうちにわかります。

 

2人の目線の交錯や、2人の間だけでわかるような会話の交わされ方が頻発するため、『猿の戴冠式』という小説が少し難解な小説に見えたのだなと感じました。

 

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しふみさんの夢の中のシーン

この小説『猿の戴冠式』の解像度が一気に上がるのは、しふみさんの夢の中でのシーンです。

 

彼女は競歩選手として落ち込んでから自分が、ずっと昔に触れていた「ふさふさしたもの」のところに早く帰りたいという欲求を持っています。

わたしはこのふさふさを始め、草や土のことだと思い、つまり「土に還りたい」「生まれる前の世界に戻りたい」ということを訴えているのだと感じていました。

 

現にしふみさんも、そのふさふさしたものの正体は何だかよくわかっていないままに欲求だけがある状態です。

 

しかしある日突然、しふみさんは夢を見ます。

その夢のおかげで、自分のお姉ちゃんと、大事な大事なおまじないを交わしていたことを思い出すのです。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

てのひらの冠のおまじない

彼女は夢に出てきたボノボのことをお姉ちゃんだと認識しており、彼女と自分の手で冠を作って、互いの頭の上に戴くというおまじないを記憶していました。

彼女が帰りたがっていた「ふさふさしたもののところ」とは、つまりこの「ボノボの姉の元」だったのでしょう。

 

その後、しふみさんは自分のお母さんに電話をかけます。

自分が子どもの頃にボノボと同じ部屋で過ごし、何かの訓練を受けたことがあるという記憶がにわかに残っていたしふみさんは、その真偽を確かめようとしました。

 

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ここまで読者は、しふみさんのどこか世間離れした不確かな面を存分に感じてきたはずです。

彼女のいうことはどこか妄想的でした。

信用ができない主人公なのではないかと思ったと思います。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

主人公の根拠となるものは

しかし、案外しふみさんのお母さんは、彼女の記憶に近いようなことを語ります。

しかしその時の類人猿が本当にあの動物園のシネノちゃんかはわかりませんでした。

 

しふみさんの幼い頃にたしかにあった記憶が潜在意識となって、シネノちゃんに結びついたのかもしれません。

 

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夢の描写の重さ

独自の世界を持つ主人公の視線で語られた言葉を読んでいくと、歪みが生じるものだとわたしは思っています。

『猿の戴冠式』は読者がバランス感覚を保ち、常に主人公を疑わなくてはいけない種類の小説です。

 

では独特な主人公の何を本音だと信じればいいのかというと、『猿の戴冠式』においては深層心理が現れ、本人も気づいていないはずの事象が浮き上がる「夢」の描写が不可欠だったのだろうなとわたしは感じています。

幼少の記憶も同様です。

 

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夢や記憶の中にこそ

夢や記憶の中にこそ、しふみさんのフラットな部分が最も現れた箇所であり、小説『猿の戴冠式』の中で最も信憑性の高い主人公の言葉です。

 

夢と記憶の描写を軸においてこそ『猿の戴冠式』の読解が成り立つのだとわたしは感じています。

 

【自分好みのコーヒー、ちゃんとわかってる?】

『猿の戴冠式』を読む人へ

「錯乱している」と言えなくもない主人公の言葉に、シネノちゃんの言葉。

読みづらいと感じてしまうこともあるかもしれない『猿の戴冠式』ですが、わたしはぜひしふみさんの夢のくだりまでは諦めずに読んでみてほしいと思います。

解像度がガラリとあがるはずです。

 

そして最後の彼女たちの凄まじい通じ合いにぜひ感激してください。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

終わりに📚

今日の書評は小砂川チトさんの『猿の戴冠式』をレビューしました。

いかがでしたか?

 

【日本に「おいしい紅茶」を届けるお店】

難解さがくせになるような小説だと感じました。

ぜひ気になっていただけましたら嬉しいです。

 

今日のブログはここまでにしようと思います。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

このブログも日々、たくさんの方に読んでいただけているようでありがたいです。

おかげさまでアクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

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以上、り📚書評家でした~!

 

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