り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 住野よる『麦本三歩の好きなもの』

『り📚書店員による小説のすゝめ』

こんにちは。り📚書店員です。

みなさまいかがお過ごしですか?

本日の独自書評はこちらをレビューします。

住野よるさん著『麦本三歩の好きなもの』。

 

『麦本三歩の好きなもの』は 幻冬舎さんより刊行されています。

シリーズ化されており、現在第二集まで発売されています。どちらも文庫化済みです。

『麦本三歩の好きなもの』 は全く新しい小説

今回はてなブログ『り📚書店員による小説のすゝめ』でこちらを取り上げたかったのは、小説の形を覆すような「とにかく真新しい小説である」と感じたからでした。

わたしが真新しさを感じた要素は主に3つあります。

それが「箇条書きの目次」、「好きなことをしている瞬間の羅列」、そして「こころのメーターの目視化」の3つです。

 

箇条書きの目次

まずは、小説『麦本三歩の好きなもの』 の目次をチェックしてみてください。

小説の目次として、「主人公の好きなものをただ並べた箇条書き」はかなり珍しいものなのではないでしょうか。

そうでなくても何かリストのような箇条書きが目次になるという事はひじょうに珍しいと思います。

小説を読む前から自らの独創性を語っていく。

住野よるさんの小説『麦本三歩の好きなもの』は、そのような独創性を持っているのです。

 

ちなみに「好きなものをただ並べた箇条書き」や何かのリストのような箇条書きの目次は、エッセイの目次の形に近いとわたしは思っています。

そのため『麦本三歩の好きなもの』は、主人公麦本三歩の「エッセイ」として捉えてみることもできるのかもしれません。

 

好きなことをしている瞬間の羅列

次に『麦本三歩の好きなもの』小説本文を読んでいきましょう。

『麦本三歩の好きなもの』は後半になってくると主人公の日常に沿った物語になっていくます。

対して前半部分は特別、好きなことの羅列が顕著です。

 

麦本三歩はあれが好き、こういうものが好き、という形式に沿って1つずつ章が進んでいきます。

本来、小説の中でそういった描写は地の文の中に極めて自然に盛り込まれていくのが定説です。

今回こちらの小説『麦本三歩の好きなもの』では、主人公が我々読者に対して自己紹介をしているような章の移り変わりを楽しむことができます。

 

かといって1人称小説でもないところが『麦本三歩の好きなもの』の興味深い点の2つ目だと思います。

 

こころのメーターの目視化

目視と書きましたが、具体的な数字が出てくるわけではありません。

もちろん小説なので、グラフや表のようなビジュアルも登場しません。

 

ではどういった意味で『麦本三歩の好きなもの』では「こころのメーターの目視化」 がなされていくのでしょうか。

これは主人公のアップダウンの状態が手に取るようにわかるということです。

 

これがあって嬉しかった。これがあって悲しかった。これが楽しみである。

『麦本三歩の好きなもの』はそのようなことを、ごくシンプルに書き連ねられている小説です。

 

そのため、読者は図面通りに主人公の心情を読み取ることになります。

文学小説にありがちな、景色や天気の比喩背景から心情を読み取る必要がありません。

そもそも比喩描写がほとんどないのです。

そのために、文章の中に続く感情の描写が「目に映るように」上下していくのです。

これを「目視化」と呼ぶことはできないでしょうか。

 

小説とは本来、様々なテクニックを用いて読者に場面を想像させたり、思い浮かばせたりしていくものです。

そのやり方が『麦本三歩の好きなもの』という小説では、かなり斬新である、というのがわたしが魅力を感じた3つ目のポイントです。

 

小説の形を覆す小説『麦本三歩の好きなもの』

「箇条書きの目次」、「好きなことをしている瞬間の羅列」、そして「こころのメーターの目視化」。

 

以上の3つの理由からわたしは『麦本三歩の好きなもの』を真新しい小説だと感じました。

そしてこの3つの挑戦は、本来の小説の形を覆すようなチャレンジではないでしょうか。

ぜひ『麦本三歩の好きなもの』シリーズのファンのあなたも、これから『麦本三歩の好きなもの』を読んでみようと思ってくれたあなたも。

ぜひさらなる小説としての新しい点を探すべく視点から『麦本三歩の好きなもの』を読んでみて下さいね。

 

終わりに📚

本日の独自書書評では住野よるさん著『麦本三歩の好きなもの』をレビューしました。

いかがでしたか?

 

こちらのシリーズ記事として、わたしの自己紹介も兼ね『り📚書店員の好きなもの』 という記事も準備中です。

より詳細にこちらの小説『麦本三歩の好きなもの』の雰囲気をわかっていただけるような章見出しをつけていきます。

よろしければぜひこちらも覗きに来ていただけますと嬉しいです〜。

(掲載後、こちらにリンクをお貼りいたします。)

 

今日のブログはここまでにしようと思います。

日々たくさんの方に読んでいただけているようで、アクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

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以上、り📚書店員でした~!

 

 

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