り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』

『り📚書店員による小説のすゝめ』

こんにちは。り📚書店員です。

みなさまいかがお過ごしですか。

本日の独自書評はこちら。

小説『ザリガニの鳴くところ』をレビューします。

早川書房より刊行されています。

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「ひと」と「いきもの」を隔てるものは

まちで暮らすこども。

湿地で暮らす少女。

野生で暮らすいきもの達。

それぞれを隔てているものとは何なのでしょう。

わたしたちはどこを見て境としているのでしょうか。

 

孤独な彼女のポエムがあなたを脳天から貫く。

恋心と理想と夢に満ちた、カイアと読者の世界です。

 

『ザリガニの鳴くところ』主人公のカイアは、周囲のものに「湿地の少女」と言われています。

彼女は友達がいなくて、恋人ができたことがありません。家族もいません。

野性的な目を向けられて生活をしています。

同じ体をしたひとあるにもかかわらず。

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けれども、まちで暮らす人々と湿地の少女との違いがないように、野生に暮らすいきものたちも本来ならば我々と何も変わらないはずなのです。

美しくて賑やかな四季の訪れを告げてくれるいきものたち。

仲良くかわいらしく暮らすいきものたち。

 

彼ら自然のいきものたちの素晴らしさを誰よりも知っているのは、主人公カイアなのです。

騒がしいことへの比喩「動物」

『ザリガニの鳴くところ』を読みながら、好きな自然に想いを馳せる方も、初恋の記憶を懐かしむ方もおられましょう。

わたしにはカイアのある時の心情が突き刺さり、抜けなくなってしまいました。

 

野生の鳥や虫でさえ、綺麗な歌やダンスを意中の相手へ披露してからお近づきになるのに。

自分に近づいてきた人間たちは私に酷いことをしてくる。と。

 

脳のないことの比喩として「動物」だ、「動物園」だ、と言うことがありますが、そんな偉そうな「人間」が一体なんだ、という思いでした。

 

この時の気分は性犯罪や痴漢などの被害にあった多くは女性たちの気持ちなのでしょうか。

そこに相手からの温かい気持ちは、きっと存在しません。

これは失恋の痛みではありません。

カイアが『ザリガニの鳴くところ』のなかである人物に恋をしていたとしても。それは失恋とは別のものだと思います。

 

カイア自身を侵害した行為なのですから。

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恋のときめき、衝撃の事実

ある男性との出会いにきゅんと心ときめく、

そして主人公が彼やわたしたち読者へ残した謎を知る時には雷にも打たれる気持ちで。

 

カイアと心がぴったりくっつかずして読めるわけなかろうという1冊です。

 

『ザリガニの鳴くところ』 は、ただのミステリーでもただの恋愛小説でもありません。

ただ、自然を壮大に描いた小説でももちろんありません。

ひとそのものの正体を暴き、ひとの心の実態を捉えさせるために、「世界」を丸ごと詰め込んだような小説だと思います。

 

終わりに📚

 

本日の独自書評ではディーリア・オーエンズさん著『ザリガニの鳴くところ』をレビューしました。

 

いかがでしたか?

今日のブログはここまでにしようと思います。

日々たくさんの方に読んでいただけているようで、アクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

とても嬉しいです。どうもありがとうございます!

始まって間もない小さなブログですが、どうぞよろしくお願いいたします。

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以上、り📚書店員でした~!

 

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