『り📚書店員による読書のすゝめ』
こんにちは。り📚書店員です。
みなさまいかがお過ごしですか?
本日の独自書評はでこちら。
『花の子ども』をレビューします。
花の子ども [ オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル ]
- 価格: 2310 円
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『花の子ども』はオイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティルさん著、神崎朗子さん訳。
早川書房より刊行されています。
子どもと女性にとってもやさしい人たちがたくさん登場します。
視点ひっくり返ったフェミニズム
フェミニズムとは。女性が女性の権利を強く主張するものだけでしょうか。
『花の子ども』は、女性を大切に尊重してくれる風潮が常に漂う小説です。
女性が金切り声を上げなくても、女性の権利は尊重されているように思います。
主体が反転し、鋭さとあたたかさも入れ替わる。そんなフェミニズムがここ、小説『花の子ども』にはあるのではないでしょうか。
薔薇の庭園
『花の子ども』は、薔薇の庭園を生き返らせもっと美しくと追求する物語。
ですが実は、色鮮やかな描写は薔薇園の場面にとどまりません。
庭園にまつわるエピソードの外でも、描写と話の筋がとても生き生き色鮮やかです。
特におんなのこが微笑むたびに誠の花が咲くよう。
日常に咲く花咲かせる花をひとつ残らず愛しむこと。
一人ひとりの笑顔にも、薔薇の花園にも共通して言えることではないでしょうか。
例えばダイヤとか絵画ならば、少しほったらかしても輝き続けてくれるのかもしれません。
対して薔薇の花や、子どもの笑顔はそうはいきません。
いかにも生もの。目をキラキラさせているだけでは誰にも守れないものです。
薔薇園とこのおんなのこは、何か共通して内包するモチーフを持ったメタファーではないでしょうか。
薔薇園とこのおんなのこは、一列に並ぶべきモチーフではないでしょうか。
そのことに主人公は気が付き、薔薇を愛すようにおんなのこを愛していると読むことができるのではないでしょうか。
『花の子ども』は主人公が伝説の薔薇園を目指して旅に出るところから始まります。
主人公の目標は「薔薇園について、薔薇園の手入れをすること」です。
ですが薔薇園に到着するまでのエピソードは数多く盛り込まれています。ページ数も多く咲かれています。
そして旅の目的地、薔薇園についてからの描写がほんとうに一瞬なのです。
まるでシェイクスピアマジック。
後半の本筋であるべき展開をあえてスピーディーに書くことで、読者に没入感を字数を用いて体感させます。
薔薇園でのシーンはとても短い。
これはあえてのトリックだと思うのですが、わたしはこの薔薇園づくりもっと読んでいたかったです。
それくらいにかわいくて素敵なのです。
充実した、けれども追い立てられないのどかな毎日。
美しく花開く薔薇に囲まれて、花のように笑うおんなのこと過ごす時間はたまらなく素敵でした。
その素敵な描写は、ほんの一瞬しかありません。
薔薇園とおんなのこが共にある描写を一瞬しか読ませてくれないのです。
その残像こそ、何より読者の心に残るだろうなと思います。
美しく咲き誇る薔薇園は、読者の胸の内に。
はてなブログに初めて掲載しました、り📚の独自書評でした。
いかがでしたか?
オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティルさん著、神崎朗子さん訳『花の子ども』でした。
花の子ども [ オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル ]
- 価格: 2310 円
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『花の子ども』はわたしがだいすきな小説です!
ぜひぜひ読んでいただきたいです。
開設まもない『り📚書店員による小説のすゝめ』。
これは『学問のすゝめ』的に「推奨」の意味をもちろん含みながら、小説を「おすすめ」するという意味も込めてみました。
人におすすめしたい素敵な小説は尽きませんね。
今日のブログはここまでにしようと思います。
前回の記事より、はてなブログの予約更新機能に感激しています。
今は下書きにたくさん記事を作っている最中です。
当面の間、週に1度程度の更新で進めてまいります。
更新曜日や時間帯は模索中のため、いろいろ試してみます。現在は不定です。
開設したばかりですが、思っていたよりたくさんの方に読んでいただけているようでようで毎日びっくりしています。
とても嬉しいです!
どうもありがとうございます!
始まって間もない小さなブログですが、どうぞよろしくお願いいたします。
ぜひフォローやいいねをしていただけたら嬉しいです!
以上、り📚書店員でした~!