イーグリング版『眠れる森の美女』の魅力
こんにちは。り📚書評家です。
みなさまいかがお過ごしですか?
本日の独自劇評はこちら。
新国立劇場バレエ団の24/25シーズン開幕公演に当たる『眠れる森の美女』をレビューします。
今回は2キャストを観劇しました。
新国立劇場の『眠れる森の美女』は吉田都さんに芸術監督が変わってから一度上演しており、その際に好評を博した作品です。
- イーグリング版『眠れる森の美女』の魅力
- 華やかなプロローグ
- 古典要素にエッセンスをプラスした新国立劇場の『眠れる森の美女』
- 新国立劇場の『眠れる森の美女』の衣装について
- ゲストの佐々晴香さん/新国立劇場の『眠れる森の美女』
- 今回の新国立劇場『眠れる森の美女』公演について
- 終わりに📚
華やかなプロローグ
新国立劇場バレエが今回採用したのは、イーグリング版の『眠れる森の美女』です。
古典的なバレエの動きにエッセンスを加えた振付がとても印象的でした。
パ・ド・シスについて/新国立劇場『眠れる森の美女』
日本でよく知られるバージョンと大きく異なる点は、パ・ド・シスの人数です。
通常はリラの精を入れてパ・ド・シスが完結しますが、今回のバージョンでは、リラの精プラス6人の妖精がいるパ・ド・シス。
舞台の使い方が少し異なり、よりバランスの取れた華やかさが印象的です。
妖精たちが身につける衣装や装飾は、一目見てもそれぞれの違いが変わらないようなシンプルなものです。白かクリーム色に見える衣装で、過度な装飾を行わず、踊りとダンサーの体で華やかさをアピールしてくるスタイル。
それぞれの妖精の役割は、 そのバリエーションを見ることで理解できるようになっています。
古典要素にエッセンスをプラスした新国立劇場の『眠れる森の美女』
あくまでわたしの印象ですが、今回拝見した新国立劇場の『眠れる森の美女』は、古典的な『眠れる森の美女』とは少しから少しアップデートを加えられたバージョンのバレエ公演だったと感じました。
もしかしたら新国立劇場のファンや日本のバレエファンの皆さんが、あまり触れたことのない要素も多かったのではないかと感じています。
高さではなく、足を集めることを魅力としたジャンプの飛び方や、スクエアにとらわれすぎない上半身と下半身のコーディネーションなどは、とてもどきどきするパフォーマンスでした。
ちょっぴり新しいエンターテイメントを提供してもらった心地でした。
新国立劇場の『眠れる森の美女』の衣装について
新国立劇場の『眠れる森の美女』では、 衣装もエッセンスが加えられています。
1幕のオーロラ姫が登場するシーンと、そこに繋がるローズアダージョでは、ピンク色の衣装を身につけたオーロラが一般的かと思いますが、今回は別の色の衣装で踊りが展開されていきます。
2幕の森の精のシーンは、『白鳥の湖』や『ラ・バヤデール』のコールドのように、白い衣装の女性の群舞バージョンが多いと感じていましたが、 こちらもイメージとは別の衣装でダンサーたちが踊りを披露していきます。
かなりぱっきりとした深みのある緑の衣装は、大勢のダンサーが揃って同じ動きをするとかなりのインパクトが感じられました。
ちょっぴりとユニークな視点が取り入れられた『眠れる森の美女』だったのではないかと思います。
ゲストの佐々晴香さん/新国立劇場の『眠れる森の美女』
今回、新国立劇場の『眠れる森の美女』 では、ゲストとして、一部の会公演のオーロラ姫役に佐々晴香さんが迎えられました。
若いオーロラのはつらつさ
まずは登場したシーンのはつらつとした印象が魅力的でした。
10代の女の子として、期待に胸を膨らませている様子の満面の笑みで登場された佐々晴香さんは、華を持つ人の貫禄たっぷりに舞台の上に現れました。
バロンが感じられ、しなやかなポイントワークが魅力のダンサー
わたしにとって、佐々晴香さんを拝見したのは今回『眠れる森の美女』が初めてでした。
ベルリン国立バレエのプリンシパルの方ということで、情報公開時よりとても楽しみにさせていただいていました。
佐々晴香さんの踊りの中でとくに魅力的だと感じたのが、「跳躍のステップ」と「ポイントワーク」です。
佐々晴香さんは体がばねのように弾む方で、軽やかに地面を越えていく堂々としたジャンプはやみつきになりました。
ローズアダージオが始まると、次はとても美しい足先に目が行くようになります。生まれた時からトウシューズを胸に抱えてきたような方だなと感じました。
足の先がとてもきれいに伸展して、トウシューズを自分の身体の一部のように扱うバレリーナさんはそう多くはないと思います。
バレリーナにとってトウシューズで踊ることは当たり前のことなのかもしれませんが、佐々晴香さんのポイントワークはまさに秀抜もので、生で見ることができたことをとても嬉しく思います。
状態の伸びやかさ
わたしは佐々晴香さんの身体の動きを、とてもドイツ的なものだと感じました。
ダイナミックで弾性のある動きで、内側にスタミナをたっぷりと抱え込んでいるような印象です。
新国立劇場バレエを長年見ているファンの方にとっては、あまり見たことのない動きのステップやリズムの使い方も多かったのではないかと思います。
ランヴェルセなど、上体を後ろや外側にそらす動作がとても美しく、「形」ではなくて「動き」で見せてくれる舞踊がすきなわたしにとっては、たまらなく濃密な時間となりました
今回の新国立劇場『眠れる森の美女』公演について
実は今回、新国立劇場で上演された『眠れる森の美女』は、主役やソリストを始めとしたキャストの変更が相次いでしまう公演となりました。
シーズンの幕開け公演で出演が叶わなかったダンサーの方々のことを思うと、とても胸が痛いです。
皆さまのお怪我やご体調がご快復されますことを、心より祈っております。
次回公演では皆さまの姿が拝見できますように。
そして、ベルリン国立バレエの佐々晴香さんを始めとして、急遽舞台に立つこととなったダンサーの方たちの見事さに拍手を送りたいです。
さまざまな事態にも動じず、複雑な気持ちを抱えながらも素晴らしい舞台を作り上げた、佐々晴香さんと新国立劇場バレエのダンサーの皆さんのお力は、ほんとうに素晴らしいものだと感じました。
新国立劇場『眠れる森の美女』は11月4日まで
新国立劇場の眠れる森の美女は11月4日まで公演が続いています。
気になる方は是非チケット情報を確認してみてはいかがでしょうか。
毎日当日券も販売されていますので、よろしければぜひチェックしてみて下さい。
終わりに📚
今日のブログでは、新国立劇場バレエの『眠れる森の美女』の魅力をご紹介させていただきました。
いかがでしたか?
近頃書籍の紹介が続き、舞台や展示のレビューは久しぶりだったので緊張しながら公開作業を進めております。
ついにこちらのブログも、掲載記事100記事を迎えました!
いつもチェックしてくださる皆さま、リアクションをくださる皆さま、どうもありがとうございます。
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