り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / チョ・ナムジュ『私たちが記したもの』

家出と絆のシスターフッド短編集『私たちが記したもの』

こんにちは。り📚書評家です。

みなさまいかがお過ごしですか?

 

【大切な本を繋ぐバトンリレーに参加しない?】

 

本日の独自書評はこちら。

チョ・ナムジュさんの『私たちが記したもの』をレビューします。

こちらはシスターフッド短編集で、筑摩書房さんより刊行されている1冊です。

今回は『私たちが記したもの』の中から特にわたしのお気に入りの3つの短編をピックアップして紹介していきたいと思います。

 

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

「家出」『私たちが記したもの』3編目収録

主人公の女性はお母さんの驚きの電話により実家に引き戻されることになります。

この日から頻繁に実家に出入りすることになる主人公の彼女とふたりの兄たち。

そのわけは。

お父さんが書き置きを残して家出してしまったというのです。

 

【カラダの中から、自分にやさしく】

お父さんの書き置き

お父さんは「探さないでくれ」という書き置きを置いて、少ない荷物と家族の預金を持っていなくなってしまいました。

携帯電話を持っていないお父さんを探すすべは警察への届出しかありません。

そこで一家のお母さんは警察へ届けるべきか迷い、子どもたちに相談するのです。

この時、お母さんが気にしていたのは「お父さんの安否」と「家族の預金」どちらでしょうか。

 

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

もちろんお父さんを心配していたことは間違いないはずですが、一方でこのお母さんはお金に関する一切を旦那に任せていたある描写が登場します。

お父さんもお金も無くなってしまっては、きっとどうしようもないのです。

 

【おいしい紅茶を日本に届ける専門店】

お父さんと娘の鍵もお金

そんな中で主人公の女性は、自分と父にだけある秘密の繋がりを思い出しました。

これはきっとお父さんが無地に元気にしているという合図だ。

そう彼女に思わせるものとは、いったいなんだったのでしょうか。

 

【おうち読書を彩るお手伝い、させてください!】

「オーロラの夜」『私たちが記したもの』5編目収録

主人公の女性は娘とおかあさんが大切な存在です。

そう聞いてなんとも当たり前のことのように感じるかもしれませんが、この小説のミソは「お母さん」ではなく「おかあさん」と表記されている点でしょう。

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

孫を持った主人公

娘は孫を出産し、とても大変な時期ですが仕事を辞めずがんばっています。

そんな娘が孫の面倒を見てくれるだろうと無条件に信じているのが主人公である母なのです。

しかし主人公は、のらりくらりと孫の世話を回避します。

 

孫の世話を避けてまで彼女がしたいことが、ひとつありました。

 

【大切な本を繋ぐバトンリレーに参加しない?】

 

主人公の家族について

主人公の女性の日常は、娘とおかあさんしか登場しないほど閉ざされています。

彼女の旦那や両親については追って明かされていくのですが、その瞬間の驚きといったらとても大きなものでした。

オーロラを見にいく旅行

そんな中で主人公は、おかあさんと極寒の地へ旅行に出ることに決めました。

この旅行話がまとまった瞬間の主人公の高揚を表す数行はとてもとても美しいものなので、ぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

 

同時におかあさんとの信頼関係や密な時間も香ってくる、とても大切な描写だと思いました。

 

【カラダの中から、自分にやさしく】

「初恋2020」『私たちが記したもの』7編目収録

若い学生の男女が「お付き合い」のなんたるかを知るためにお付き合いする初恋のお話です。

2020年の告白

主人公の女子学生は、いいなと感じていた男子学生に告白をされます。

もちろん飛び上がるほど嬉しかったはずの彼女が口にしたのは「じゃあまた電話するね!」。

 

【おいしい紅茶を日本に届ける専門店】

これは恥ずかしさを紛らわすためのものだったのでしょうか。

それとも、2020年という時制が悪さをしたのかもしれません。

無意識のうちに対面で人と話すことをむず痒く感じさせる何かが、コロナ禍にはありました。

 

【おうち読書を彩るお手伝い、させてください!】

連絡の取れない携帯電話

彼らの恋愛を不自由で遠距離にするものは他にもありました。

それが女子学生が持っている携帯電話です。

 

いわゆるスマートフォンをまだ持たせてもらえない少女は、意味はなく楽しいだけのメッセージのやり取りでギガを消耗していきます。

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

長期休み

学生カップルは長期休みをどのように過ごすのでしょうか。

 

遠くにデートに行ったり、映画を見にいくことで毎日のように自由な時間を過ごすことができるカップルの長期休み。

しかし、お付き合いを学ぶためのお付き合いをしている主人公たちはここでも距離を取ることとなります。

 

学校が普通にあれば話せたかもしれないはずのことをすべて飲み込んで、彼らの初恋は閉じるのでした。

 

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

終わりに📚

本日の独自書評では、シスターフッド短編集『私たちが記したもの』をレビューしました。

いかがでしたでしょうか。

 

わたしはチョ・ナムジュさんの小説を日本語訳でいくつか読んでおり、どれもこころにぐっと刺さっては抜けなくなりました。

こちらのチョ・ナムジュさん小説もおすすめです。

ぜひチェックしてみていただけましたら嬉しいです。

今日のブログはここまでにしようと思います。

いつも読んでくださっている皆さん、どうもありがとうございます!

これからもぜひ遊びにきていただけましたら嬉しいです。

がんばって更新していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

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以上、り📚書評家でした~!

 

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