書評家・東 莉央の毎日書評

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 若いのを馬鹿にしていると、若いのに呑まれていく?『Z世代化する社会』

こんにちは。り📚書評家です。

みなさまいかがお過ごしですか?

 

【解凍するだけで、毎日の食卓がエシカルでちょっと豪華に。おいしいお魚を食べて海を守る、新しい海のごちそうサブスク「Fishlle!(フィシュル)」はこちら】

 

「わたし、ちゃんと見てますよ」

 

世界中のおじさんやおばさん、いわゆる上の世代の人たちが、わたしたち若者や「Z世代」と呼ばれる人間たちの悪口を、メディアやSNSのいたるところで日々発信していること。

そして「これだからZ世代は」と、生まれ年も育った環境も全く異なるひじょうに広い年齢層の若者たちを、ぜーんぶ一括りにして都合よくラベル貼りしていることも。

 

本日ひもとくのは、舟津昌平による鋭い社会分析の書『Z世代化する社会』です。

 

 

「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「マニュアル志向」など、現代の若者を象徴するとされる特徴が、実は若者特有の気質などではなく、この社会全体がシステムとして変質してしまった結果なのだと論じる本作『Z世代化する社会』。

若者批評という名のノイズを剥ぎ取り、わたしたちがいま直面している歪んだ現代社会のリアルな姿をたっぷりと深掘りしていきます。

 

古代エジプトから続く「近頃の若者は」という記号

実のところ舟津昌平による鋭い社会分析の書『Z世代化する社会』によると紀元前の古代エジプトの遺跡に刻まれた文字や、古代ギリシャの哲学者の記録をひもといても

 

「近頃の若者はなっていない」

 

「規律を知らない」

 

という愚痴が残されていたのだそうです。

 

人類の歴史が始まって以来、社会はつねに「近頃の若者」をディスり、ため息をつき続けてきました。

 

なぜ、どの時代、どの国であっても、上の世代は若者をこれほどまでに目の敵にしてしまうのでしょうか。

 

それは、若者という存在が、その時代の「社会のありのままを映し出す鏡」だからかもしれません。

 

新しく生まれた世代は、まっさらな状態でこの世界にやってきます。彼らは過去の古き良き時代や、かつての常識なんてものを知りません。

ただ自分たちが生まれた「いま」の環境だけを前提として、そこで生き残るための最適な行動を選択しているに過ぎないのです。

 

つまり、上の世代が若者の行動を見て

 

「理解できない」

 

「みっともない」

 

と眉をひそめるとき、彼らがほんとうに嫌悪し、恐怖しているのは、若者そのものではなく、自分たちが作り上げてしまった「現代社会の歪んだ縮図」そのものなのだと思います。

 

社会の病理をいち早く吸収する「柔らかい鏡」

若者は、もっとも感受性が豊かで、まだ社会のシステムに完全に染まりきっていない、ひじょうに柔らかい感性の持ち主です。

だからこそ彼らは、社会に蔓延している空気や、新しく流行っている言葉、テクノロジーの利便性を、だれよりもいち早くスポンジのように吸収します。

 

それは同時に、現代社会が抱える歪みや資本主義の闇といった「社会問題」に、もっとも最初に取り込まれやすく、カモにされやすい存在であることも意味しています。

 

若者たちが日々口にし、真似て育つ価値観や行動様式は、すべて彼ら自身がゼロから生み出したものではありません。彼らを育てた両親、学校で指導した教師、そして社会に出て最初に出会った会社の上司たちの言葉や背中を見て、それを忠実にトレースした結果にすぎないのです。

 

「タイパを重視して、無駄な人間関係を嫌う」

 

と言われる若者たち。しかし彼らに幼少期から

 

「効率よく成果を出しなさい」

 

「無駄な塾や習い事をして時間を無駄にするな」

 

と、コスパやタイパの概念を骨の髄まで叩き込んだのは、ほかならぬ上の世代の大人たちでした。

彼らはただ、大人たちに褒められるために、そのルールを徹底的に内面化して生きているだけなのです。

 

スマホ依存と闇バイトという構造の罠

たとえば、現代の若者を批判するときにもっともよく使われる「スマホ依存」という言葉。一日中小さな画面を眺め、タイパの良い短い動画ばかりを消費している姿を見て、大人たちは

 

「集中力がない」

 

「活字を読まない」

 

と嘆きます。

 

しかし胸に手を当てて考えてみてください。

 

「あなたもじゃない?」と、わたしは静かに問いかけたくなります。

満員電車のなか、オフィス、夜の寝室、あらゆる場所でスマートフォンを手放せなくなっているのは、決して若者だけではありません。むしろ人間を画面に依存させ、時間を搾取するためのアルゴリズムを巨万の富をかけて開発し、社会に普及させたのは、他ならぬ大人たちの世代の企業です。

 

さらに深刻な社会問題となっている「闇バイト」や、若者による凶悪な詐欺犯罪についても同じことが言えます。

これらを単に

 

「今の若者はモラルが低下しており、楽をして大金を稼ごうとしている」

 

という個人の資質の問題として片付けてしまうのは、ひじょうに危険で浅はかです。

 

その実態を深く分析してみれば、若者たちの困窮や、承認欲求、そして孤立という心の隙間に巧妙につけ込み、若者を使い捨ての「捨て駒」としてビジネスの道具にしている凶悪な大人たちの存在が浮かび上がってきます。

 

経済的な格差を広げ、セーフティネットを破壊し、お金こそがすべてだという拝金主義の空気を社会に満たした結果、もっとも社会的・経済的に脆弱な若者たちが、そのシステムに最適化しようとした最悪の結末が闇バイトなのかもしれません。

若者が闇バイトという歪んだビジネスのカモにされているという事実は、この社会全体のセーフティネットがいかに崩壊しているかを示す、もっとも痛烈な証拠に他なりません。

 

あなたが嫌いな若者は、あなたと社会が作っている

舟津昌平による鋭い社会分析の書『Z世代化する社会』が提示するもっとも冷徹で、かつ救いのある真実は

 

「あなたが嫌いな若者は、あなた自身と、あなたが属しているこの社会が作り出している」

 

というメッセージです。

 

若者のマニュアル志向を嘆くなら、失敗を一切許さず、指示通りに動くロボットのような人材ばかりを評価してきた会社の評価制度を見直すべきです。彼らの冷淡さを責めるなら、傷ついた者を自己責任として切り捨ててきた、冷酷な社会の空気を変えなければなりません。

 

若者は、いつの時代も社会の被害者であり、同時に最先端の適応者です。

 

彼らを記号として切り捨て、悪口を言っている暇があるのなら、なぜ彼らがそのような生き方を選ばざるを得なかったのか、その背景にある「社会の病理」に対して、わたしたちはもっと深い想像力と知性を持つべきです。

 

舟津昌平による鋭い社会分析の書『Z世代化する社会』は、単に若者の生態を解説するトレンド本ではありません。若者という鏡を通して、わたしたち大人が、自分たちの生き方や、これまで築いてきた社会のあり方を厳しく、そして誠実に見つめ直すための、ひじょうに重厚な現代のドキュメンタリーです。

 

世代の分断を超えて、ほんとうの意味でこれからの時代を豊かに生きるための視座を、ぜひ静かな夜のなかで受け取ってみてください。

 

この作品が気になる人に合わせておすすめしたい書評

書評を楽しく読んでくださった方に併せておすすめしたい、自身の書評をご紹介します。

 

-シスターフッドと同性愛の間を考える書評です。

books76.hatenablog.com

 

-芥川賞候補につきリライトしました!

books76.hatenablog.com

 

-ディズニー映画についても紹介しています。

books76.hatenablog.com

 

-セルフケアに関心のある方は夏に向けてこちらを読んでみませんか?

books76.hatenablog.com

 

読書の余韻を、明日を生きる身体の慈しみに変えて

本日ご紹介した書籍はいかがでしたでしょうか。

舟津昌平による鋭い社会分析の書『Z世代化する社会』の書評をお届けしました。

 

 

書籍『Z世代化する社会』とともに社会問題のなかに深く潜り込み、たくさんの言葉を体内に吸い込んだあとの読後の時間は、ひじょうに愛おしく、そしてどこか切ない余韻に満ちています。
 
ページを閉じたあとも、こころのなかに残るかすかな温度をそのままに、自分だけの静かな時間へと着地していく。そんな読書という素晴らしい体験を、さらに深く、そして現実のあなたの暮らしへと優しく定着させるために、わたしが毎日の習慣にしている小さな秘密があります。
それは言葉で満たされたこころと同じように、明日を生きる「自分の身体」を、やさしく、そして誠実に労わってあげることです。

 

疲れ果てた夜の、切実な防衛策

コンテンポラリーダンスの激しいリハーサルや、夜遅くまでパソコンの画面と向き合う執筆作業。すべてを終えて身体の芯まで疲れ切って帰宅した夜は、包丁を握る気力すら残っていないことが多々あります。
けれど表現の土台となる唯一の資本は「自分の身体」です。
 
だからこそ、どれだけ疲れていても、コンビニのお弁当でただ空腹を満たすのではなく、血や肉となる質の良いものを身体に入れてあげたい。
 
そんな、忙しく生きる現代人の切実な願いを叶えてくれるのが、わたしが愛用している「Fishlle!(フィシュル))」というお魚の定期便です。

 

「未利用魚」という、物語のある食卓

Fishlle!(フィシュル)が届けてくれるのは、ただのおいしいお魚ではありません。
 
実は日本の海で水揚げされる魚のうち、味はひじょうにおいしいのに
 
「形が不揃いだから」
 
「加工しにくいから」
 
という理由だけで、市場に出回らず廃棄されてしまう「未利用魚」がたくさん存在します。
 
漁師さんによっては、多い日で水揚げの9割が食用に回せないこともあるそうです。
 
世間の規格や見栄えという残酷なルールのせいで、価値がないとされてしまう命。それは、文学のなかで描かれる「社会の周縁に追いやられた人々」の姿にも、どこか重なるものがあります。
世間の評価軸からこぼれ落ちてしまったものの中にこそ、ほんとうの豊かさが隠されている。
 
フィシュルは、そんな知られざる50魚種以上の未利用魚たちを丁寧に買い取り、わたしたちの食卓へと届けてくれます。

 

解凍するだけ、焼くだけで完成する「海の恵み」

難しい調理は一切いりません。
水揚げされたその日のうちに手作業で丁寧に捌かれ、マイナス30度で瞬間凍結されたお魚たちは、鮮度バツグン。和風・洋風・中華風と、種類に合わせて最高においしくなる味付けがすでに施されているため、流水で解凍してそのままお刺身やマリネとして食べたり、フライパンでさっと焼いたりするだけで、あっという間にごちそうが完成します。
 
疲れ果てて何もできない夜であっても、冷凍庫にこのお魚たちが待ってくれているという安心感は、ひじょうに大きなものです。

 

地球にも、わたしにも美味しい選択

素晴らしい文学を通して世界の見方を少しだけ変えた夜は、口に運ぶ食事も、社会や地球の未来に繋がるエシカルな選択でありたい。
Fishlle!(フィシュル)をいただく時間は、そんな「食の三方よし」を叶えてくれる、ひじょうにしあわせで豊かなひとときです。
 
活字でこころを満たし、海の恵みで身体を満たす。
ほんとうの意味で自分を慈しむその選択から、また明日を生きるための新しいエネルギーが湧き上がってくるはずです。
今夜のあなたの食卓と読書の時間が、おいしく、そして心身ともに健やかなものになりますように。
 
【解凍するだけで、毎日の食卓がエシカルでちょっと豪華に。おいしいお魚を食べて海を守る、新しい海のごちそうサブスク「Fishlle!(フィシュル)」はこちら】

【お知らせ💐】

書評かのわたしが読書会×読書泊をプロデュース予定です!

わたし史上初のオフ会になります。

 

初回のこの夏のイベントでは芥川賞直木賞の読書会を行い、同じ釜の飯を食べて、自然豊かな山の上の日本家屋で本の話をする時間をご用意中。

そのほか愛読書や本のことばかりでなく、ライター・書評家の仕事についてもNGなしでお答えします!

 

地元のおいしいおいしいお米とお魚を用意してお迎え。

情報公開をお楽しみに。ぜひ会いにきてください!

 

※先着12名、2日間の予定です

str.toyokeizai.net