り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』

現代的自己統一の迷いを描く『サンショウウオの四十九日』

こんにちは。り📚書評家です。

皆様いかがお過ごしですか?

 

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

本日の独自書評はこちら。朝比奈秋さんによる小説『サンショウウオの四十九日』をレビューしていきます。

小説『サンショウウオの四十九日』は2024年に芥川賞を受賞された中編小説です。

SNSなどでも話題の小説に、わたしならではの視点で迫っていきたいと思います。

お付き合いいただけましたら嬉しいです。

 

 

【人は、香りに導かれる】

小説『サンショウウオの四十九日』に潜む違和感

小説『サンショウウオの四十九日』の初めで語られるのは、家族間の不思議な会話です。

サンショウウオの四十九日』の主人公は自分をうまく統一できていないような、陽の自分と陰の自分とのバランスの取り方をわからないような語りをしていきます。

 

小説『サンショウウオの四十九日』において父と母の実家を訪れた29歳の主人公の女性は、ある特殊な先天性の事情を持っていることが明かされていきました。

 

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父たちのつながりが鍵

小説『サンショウウオの四十九日』ではじめに解説されるのは、主人公の女性についてではなく、主人公のお父さんの事情についてです。

主人公のお父さんには、お兄さんがいて、主人公から見て叔父にあたる人物がいました。

 

【毎日を、よりあなたらしく】

かっちゃんと呼ばれるその人は、体が弱く病気がちで、赤ちゃんの頃に胃カメラを飲まされた経験もあるほどです。

 

この兄弟は不思議なつながりがあり、さらにもう1人育まれるはずだった男児の命もつながっています。

 

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肉体がつながる男児たち

密接な兄弟関係にある3兄弟は、胎児内胎児、先天性食道閉鎖症という診断名のもとに結合されていきます。

 

ただの血縁関係ではなく、生まれたときに「肉体に何らかのつながりを持っていた兄弟」として表記されていくのでした。

 

【目を閉じている時間も惜しい本物の読書家へ】

肉体がつながる女児たち

小説『サンショウウオの四十九日』主人公の女性の名前は、瞬さん・杏さんといいます。

彼女たちは結合双生児のなかでもとくに稀な事例の生まれでした。

 

周囲の人が見たら1人の人間にしか見えないけれど、体が左右に分裂をしている姉妹です。

 

【要約、あらすじ、オーディオがこれ1つ!】

 

小説『サンショウウオの四十九日』主人公のお父さんとおじさんが、片方から見れば「世界そのもの」、片方から見れば「自分の内臓の1つ」のような位置関係にあるように、主人公たちは「自分の体が自分の体でない」ような感覚を覚えている様子です。

「いつか相手に吸収され、自分の人格が消えてしまうことがあったらどうしよう」と呑まれてしまうことを怖がり、ときには「自分がいたことで相手の人生を変えてしまったのではないか」と思い、悩みます。

 

専門家が第三者である謎

小説『サンショウウオの四十九日』は、自分の体のようでいて自分の体ではない結合双生児の主人公を描き、双生児の専門家として登場する人物や世界の人々は所詮は単性児であることを皮肉っていく小説です。

 

【毎日を、よりあなたらしく】

単生児として生まれた双生児の専門家たちは、人に支配される気持ちがわからないのではないかと主人公たちは考える様子。

事実をある種の皮肉として受け取っていました。

そして専門家にも自分たちの気持ちはわからないのではと塞ぎ込んでいきます。

 

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しかし小説『サンショウウオの四十九日』の後半には、結合双生児の主人公2人から見ても、体と人格が自分1つで形成されている人はほとんどいないのではないかと思うようになります。

 

人ひとりの苦悩に触れる小説『サンショウウオの四十九日』

半分ずつぴったりとくっついた結合双生児の女性たちを主人公にして世界を見つめていくことで、1人の人間に詰められた人格や思想についてを問い直していく小説、それが『サンショウウオの四十九日』です。

 

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自分の体を持たない現代人

わたしは小説『サンショウウオの四十九日』を、人の影響を受け、人の考えを吸収し、毎日自分が揺らいでいく単生児の人たちは、結局のところは誰も「自分だけの体」を持っていないのではないかという問い詰めをしていく、とても興味深い思想を扱う小説だと感じました。

 

わたしは確かに自分の体は自分ひとつで形成されておりますが、毎日刻一刻と変化する自分のことを意識する時もあります。

昨日と今日で目標が異なったり、一度決意したことをやっぱり諦めたくなってしまったりという経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。

 

【人は、香りに導かれる】

テクノロジーに翻弄される現代人

さらに他人に影響されやすく、人のしていることや成し遂げたことにいちいち影響されてしまうのも、テクノロジーが発達しすぎた現代人ならではの精神苦悩といえるでしょう。

 

小説『サンショウウオの四十九日』を読んでわたしは、そうした近代的な人間のあり方について、改めて考えさせられました。

 

【要約、あらすじ、オーディオがこれ1つ!】

終わりに📚

本日の独自書評では、『サンショウウオの四十九日』という小説をレビューしました。

いかがでしたか?

 

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以上、り📚書評家でした~!

 

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