イブの日に、ミステリアスなテーマパークにて。『再愛なる聖槍』
こんにちは。り📚書評家です。
みなさまいかがお過ごしですか?
本日の独自書評はこちら。
由野寿和さんによる小説『再愛なる聖槍』をレビューします。
小説『再愛なる聖槍』は、うきうきどきどきのクリスマスイブに、テーマパークで繰り広げられる出来事を描いたミステリー・サスペンス小説です。
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- イブの日に、ミステリアスなテーマパークにて。『再愛なる聖槍』
- 小説『再愛なる聖槍』の舞台背景は
- 小説『再愛なる聖槍』の主人公の性格
- 小説『再愛なる聖槍』の事件現場
- 電波遮断の観覧車が象徴するものとは『再愛なる聖槍』
- 終わりに📚
小説『再愛なる聖槍』の舞台背景は
小説『再愛なる聖槍』作中に登場するテーマパーク・ドリームランドの入園口にあるベンチに腰掛けているのは、主人公の仲山です。
主人公は、別れた妻との間の娘・凛を待っています。
とても久しぶりの娘との再会で、小学生の娘との2人でのデートは、ほとんど経験がない様子でした。
主人公親子にせっかくのクリスマスイブをたのしんでもらいたい気持ちはもちろんありましたが、「なぜ突然これほど重要な日に、母抜きで2人で会うことになったのか」というほのかな疑問を感じる描写といえそうです。
鍵を握る「ドリームアイ」について『再愛なる聖槍』
テーマパーク・ドリームランドには、大きくそびえ立つ観覧車があります。
誕生当時からドリームランドの看板的アトラクションとなっている様子の「ドリームアイ」は 、ドリームランド入園券のほかに特別なチケットを持っている人ですら、順番待ちをしなくてはいけないこともあるそうでした。
実はこの日、仲山はドリームアイの抽選券を持っていたのでした。
小説『再愛なる聖槍』の序盤に主人公たちは、抽選券の時間に遅れないよう慌てながら娘を急かして、ドリームアイの入場ゲートへ向かって行きます。
小説『再愛なる聖槍』の主人公の性格
序盤から必要に触れられている主人公・仲山の性格について、ここで一度触れておきたいと思います。
主人公の仲山は、よく知られている言葉で言うのなら、「神経質」「こだわりが強い」などという表現をされる可能性もある様子の人物として描かれています。
【実用書の要約、小説のあらすじ、オーディオブック機能まで!】
小説『再愛なる聖槍』のごく序盤から繊細に描かれている主人公の性格は、とても重要な読解の鍵となるでしょう。
主人公の計画性は完璧。
大混雑のクリスマスイブに、広いテーマパークの中で、小学生の幼い娘を連れてでも分刻みのスケジュールを完遂したいと思っているほどの徹底ぶりです。
仲山は、計画が狂ってしまうことをとても怖がっているようにもみえました。
気が付きやすい性格の主人公・仲山
人よりも敏感で気がつきやすく、自分のルールをきちんと守っていきたい様子の主人公・仲山のこの性格は、小説『再愛なる聖槍』1冊を通して、よい意味でも悪い意味でも、彼自身に影響を及ぼしていきます。
ぜひ『再愛なる聖槍』の序盤から主人公の心の動きや焦り、逼迫感などの心情描写に慎重になって読んでいただ期待です。
著者さんも力を入れているはずの主人公の描写に注目すると、より、この小説『再愛なる聖槍』を楽しめるのではないかと感じています。
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小説『再愛なる聖槍』の事件現場
クリスマスイブに起こったバスジャックならぬ、前代未聞の「観覧車ジャック」。それが小説『再愛なる聖槍』の主筋でした。
主人公は娘と乗り込んだドリームアイで、観覧車ジャックに巻き込まれてしまいます。
不審な人物からの内線に、観覧車のゴンドラが落下する事態が発生し、テーマパーク内は混乱を極めていきます。
しかし主人公だけは、いやに冷静なのでした。
計画が崩れることを恐れる性格だったはずの仲山が、なぜ前代未聞の事件に動じなかったのか。
小説『再愛なる聖槍』の主人公は、元警察官だったからでした。
元警察の交渉役『再愛なる聖槍』
観覧車ドリームアイの中で人質のようになってしまった主人公とその娘。
この主人公・仲山は以前、警察で勤務していた人物でした。
事件が起こるたびに不審な点に気がつき、真相を追求するのが、主人公の得意なことのひとつです。
用意周到な仲山のバックの中には、紙やペンなど、筆記用具が揃っています。
それらを広げて、上空何十メートルもの真冬のゴンドラの中で、小説『再愛なる聖槍』の主人公はひとり推理を始めていきました。
スマートフォンの電波が遮断されてしまい、 ジャック犯にとって都合のよいタイミングのみでしかゴンドラの内線も使えないなか、小さな子どもの不安を拭いながら、自分たち乗客が助かるために考えを振り絞っていきます。
電波遮断の観覧車が象徴するものとは『再愛なる聖槍』
主人公が推理を進めていくのは、 電波が遮断され、地面からも引き離されてしまった観覧車のゴンドラの中です。
主人公はジャック犯を名乗る「小人」という人物から直接連絡を受け、警察との交渉役に任命されます。
橋渡しをしながら、しかし外の状況がわからない。
仲山は、ことの全貌が見えていないまま、手の中にあるパーツで整理を進めていくしかありません。
なかには小人にバレないように警察にメッセージを伝えたいこともあり、 小人に盗聴されたくない内容を娘と話したいこともあります。
言葉のひとつひとつにリスクが伴うなかで、自分が体を動かして操作に参加することもできないままに事件解決へ挑んでいきます。
【実用書の要約、小説のあらすじ、オーディオブック機能まで!】
『再愛なる聖槍』物語の中盤からは、主人公の仲山がただ1人で物語を語るだけの形式ではなく、多角的な視点からものを見ることができるようになります。
警察関係者やドリームアイのスタッフなどの目線が加わり、読者にとって新たな情報が与えられていく仕組みです。
仲山以外の語りでも終盤まで決定的な事象は明かされないため、登場人物たちはかなり意味深な物言いをしながら物語を進めていきます。
これは見えるようで見えず、手が届くようで届かない「電波遮断状態の観覧車」とも、繋がっているように感じました。
あと1歩というところで犯人にうまく邪魔をされてしまいつつも、真相に近づいていく主人公の勇敢な姿は見事です。
そして著者が読者に対して衝撃的な事実を与えてくるタイミングもまたお見事だと感じました。
事件の急展開2場面
見逃したくない驚きのタイミングが数多く登場する小説『再愛なる聖槍』。
なかでもとくにお見事だと感じた2つのシーンのページ数と冒頭のセリフを紹介させていただきます。
ひとつめはこちらです。
「あなたは、元ご主人は精神を〜」
158ページの終わりに登場するセリフです。
ここの場面では、主人公・仲山についてのひとつの出来事が明らかになります。
【実用書の要約、小説のあらすじ、オーディオブック機能まで!】
ふたつめはこちらです。
「では警視庁捜査一課の刑事、貝崎啓一は、〜」
こちらの場面では、思いもよらなかった登場人物同士の繋がりが明かされます。
実はこちらの2つの場面は、いずれも主人公の元妻に向けられるセリフです。
彼女は何を知っているのか。
小説『再愛なる聖槍』内でかなり多くの鍵を握っているこちらの女性にも、ぜひ注目してみてくださいね。
終わりに📚
本日の独自書評では、小説『再愛なる聖槍』をレビューしました。
いかがでしたか?
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同じ著者さんの小説『アイアムハウス』の書評も掲載しております。
著者・由野寿和さんが気になってきたという読者の方は、ぜひあわせてチェックいただけますと嬉しいです。
本日のブログはここまでにいたします。
お読みいただき、どうもありがとうございました。
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