り📚書評家による小説のすゝめ

若手書評家、アートカルチャー系ライターをしています。り📚です。元書店員。独自書評や買った本の話、美術館や観劇の記録などをつけていきます。併設趣味ブログhttps://culture76.hateblo.jp/

書評 / 片瀬チヲル『カプチーノ・コースト』

休職中の静かな痛みと、芯の強い意志について『カプチーノ・コースト』

こんにちは。り📚書店員です。

みなさまいかがお過ごしですか?

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

 

本日の独自書評はこちら。

片瀬チヲルさんの小説『カプチーノ・コースト』をレビューします。

 

会社勤めの求職中

この小説『カプチーノ・コースト』は、文章を書く仕事をして会社に勤めている主人公が、休職から復帰するまでの過程を描いた小説です。

仕事中に溜まってしまった何らかに苦しめられ、休職をするという選択をした主人公。

 

彼女が休職期間に何をし、何を考えているのかを語りかけてくれる小説です。

 

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静かな痛み

心理的・精神的負荷で会社を休む人に、あなたはどんなイメージを持っていますか。

一般的な「病んでいる」という言葉には、攻撃的で勢いのあるイメージがあるかもしれません。

少し危険な印象を持っている人や、怖いと感じている人もいるでしょう。

 

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しかし片瀬チヲルさんの小説『カプチーノ・コースト』の主人公は、とても静かに痛みを抱えています。

発散先やぶつけ先を知らず、探す元気もないような印象です。

 

あるいは痛みを発散させ方を知らない、真面目で大人しい女性なのかもしれませんでした。

 

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距離をとりたかった

小説『カプチーノ・コースト』内に、このような一文がありました。

 

「うっすらとでも悪意を感じるものとは、一センチでも大きく距離をとりたかった。」

 

わたしはこの引用箇所に強く共感しました。

傷つけられそうなものに敏感な人の自衛のための心がけではないでしょうか。

 

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自分の足で立つ

限界を迎えつつも自分の足でしっかりと立つ主人公。

その姿には、結局は自助がいちばんであり、家族や友人、恋人に期待をしてしまうことは双方のために良くないとなと思わせてくるものがありました。

 

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人に助けを求めることもパワーを要するかもしれません。

助けてきれる気になった人のために元気になったふりを見せる元気もなかったのかもしれません。

 

自分にとって最善の休職とするために『カプチーノ・コースト』の主人公は自ら、自分の足で立つことを決断したのだろうということは、小説の端々からよく伝わるようになっています。

小説『カプチーノ・コースト』において孤独はすべて主人公の彼女のためであり、静かな中にもきちんと意志をみせる文章たちが散りばめられています。

 

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ここで小説『カプチーノ・コースト』の主人公が見せてくれるのは

めでたいだけでは終わらない、

やさしいだけでは救われない、この世の中の生き残り方のひとつの例でしょう。

 

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ひとつ良いことをしてみる

世界的な結果には繋がらないかもしれないけれど、ひとつ小さな良いことをしてみるのは自分にとってとても良いことになるかもしれません。

その程度にしか感じることができなかった『カプチーノ・コースト』におけるビーチクリーンの意味を読者が知ることになるのは小説『カプチーノ・コースト』のごく後半部分となるでしょう。

 

海をきれいにする行為は、『カプチーノ・コースト』においてとても重要な行動となります。

 

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カプチーノ・コースト』とビーチクリーン

自宅やお部屋のお掃除には手を広げずに、ずっとビーチクリーンにこだわる主人公。

カプチーノ・コースト』の主人公が本当にきれいにしたかったものが何なのかを捉えることなく、ビーチクリーンを「休職中の毎日の目的」にしか捉えることができなかったため、わたしは復帰後の主人公に大いに驚くこととなりました。

主人公の復職

主人公は復帰までの日にちを定期的にカウントしているにも関わらず、その日が近づいてくることを大きく恐れる様子を見せません。

復帰当日はすんなりと出社し、仕事をこなしていきます。

 

そうして職場に戻ってからの彼女の姿を見て、読者はやっとこれまでの「休まらない休職期間」に気がついてあげることができるでしょう。

 

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彼女にとって、仕事と海は根強く関連していました。

休養の期間にさえ毎日のように海へ向かうことで、自分のやっていることに囚われてた主人公の姿には言葉が出ません。

 

ようやく顕わになった休職の全貌に、どこまでも静かで真面目な主人公のことを気の毒に思ってしまったほどでした。

 

会話を回想する文学『カプチーノ・コースト』

主人公の真意を理解した時、多くの読者が小説『カプチーノ・コースト』のこれまでを改めて味わい直すのではないかと思います。

 

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人と話して、関わっているときの心境。

あの不思議な行動の意味。

 

一つひとつが立体的になり、より濃い意味を持つようになっていきます。

 

小説内において主人公は過去の心境を一才見せなかっただけに、読者が回想をする必要が出てくる。

カプチーノ・コースト』はそんな不思議な小説です。

 

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タイトル『カプチーノ・コースト』

タイトルになっている「カプチーノ・コースト」とは、海のある状態を表す言葉だそうです。

 

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作中にちらりと登場する「カプチーノ・コースト」。

小説『カプチーノ・コースト』を読みながらわたしはネットで検索をしました。

 

わたしにはカプチーノ・コーストは綺麗なものに見えなかった。

そして、ここまで泡泡している海を初めて見た、とショックを受けました。

 

【お得にたっぷり読書しよう】

主観と客観の境がぼやけるその時、これを信じたいと必死に掴めるものが誰のこころにもあるといいなと願います。

 

いままで見えていなかったものにふと、目がいく瞬間を大切にして。

完璧に善良な人間にはなかなかなれないので、せめて「自分が良いと選んだこと」を選択して生きていきたいと感じた小説です。

 

【自分好みのコーヒー、ちゃんとわかってる?】

小説『カプチーノ・コースト』はこのように、静かな中に確かな芯を感じることができる小説でした。

胸に届いた祈りや、胸から湧き上がってきた意志を私も大切にしたいと思います。

 

【もっと効率よく読書したい本物の読書家へ捧ぐ革命】

終わりに📚

本日の独自書評では小説『カプチーノ・コースト』をレビューしました。

いかがでしたか?

このブログも日々、たくさんの方に読んでいただけているようでありがたいです。

おかげさまでアクセス解析を見るのがとても楽しいです。

 

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とても嬉しいです。どうもありがとうございます!

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以上、り📚書評家でした~!

 

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