亡き妻との思い出か、目の前の「人」か。映画『カールじいさんの空飛ぶ家』が問う、ものを手放す勇気
こんにちは。り📚書評家です。
みなさまいかがお過ごしですか?
本日の映画評はこちら。
ピクサーが贈る、冒険と再生の物語『カールじいさんの空飛ぶ家』を深掘りします。
- 亡き妻との思い出か、目の前の「人」か。映画『カールじいさんの空飛ぶ家』が問う、ものを手放す勇気
- 「もの」に縛られるラグジュアリーを脱していく生き方
- 孤独が深める「人以外のなにか」への縋りつき
- 大切な「もの」と大切な「人」。あなたはどちらを選びますか?
- 「ただの家だ」と笑えるジェントルな幕引き
- 終わりに📚
- この作品が気になる人に合わせておすすめしたい書評
「もの」に縛られるラグジュアリーを脱していく生き方
最近、英語でこの映画『カールじいさんの空飛ぶ家』をはじめて観ました。
そこで気づかされたのは、この物語『カールじいさんの空飛ぶ家』が単なる空飛ぶ冒険譚ではなく、わたしたちが無意識に抱え込んでいる「執着」からの脱却を描いているということです。
『カールじいさんの空飛ぶ家』主人公のカールじいさんは、非常に厳格な人物です。
そして厳格な人というのは、ときとして「いらいらしがちな人」でもあります。
自分のルールや聖域を侵されることを極端に嫌い、他者とぶつかっては想像以上の大ごとにしてしまう。
そんな不器用な生き方が、映画の冒頭から丁寧に描写されています。
孤独が深める「人以外のなにか」への縋りつき
つもりなく悪いことをしてしまったとき、すぐに謝ることができない。
そんな経験は誰にでもあるかもしれません。
『カールじいさんの空飛ぶ家』のおじいさんもまた、周囲との壁を高く厚くすることで、自分を守ろうとしていました。
人は孤立すると、ますます人以外のなにか、つまり「もの」や「過去」に縋りつきたくなってしまう生き物です。
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のカールにとってそれは、亡き妻エリーとの思い出が詰まった写真であり、二人で守り抜いてきた「家」そのものでした。
あの大量の風船で家を飛ばすという行為は「思い出をどこまでも守り抜こうとする、彼の悲痛なまでの執着の象徴」だったのではないでしょうか。
大切な「もの」と大切な「人」。あなたはどちらを選びますか?
この映画『カールじいさんの空飛ぶ家』はわたしたちに、非常に鋭い問いを投げかけます。
「大切な『もの』と、大切な『人』、どちらに重きを置いていますか?」と。
そして、「どちらかを手放さなければならないとき、あなたはどうしますか?」と。
物語『カールじいさんの空飛ぶ家』の後半、家が崩れそうになり、あるいは大切な誰かが危機に瀕したとき、おじいさんは究極の選択を迫られます。
家の中にある思い出の家具を一つずつ外へ投げ捨て、家を軽くして、空へと飛び上がるシーン。
あれこそが、彼が「過去という重り」を捨て、いまを生きる決意をした瞬間でした。
「ただの家だ」と笑えるジェントルな幕引き
かつては誰よりも家に固執し、他者を拒絶していたおじいさん。
しかし少年ラッセルや犬のダグとの旅を経て、彼は本当の「ラグジュアリー」に気づきます。
それは物に囲まれることではなく、心を通わせる相手がいること。
ラストシーン近くで彼が放った言葉は、すべての観客の心に静かな感動を与えます。
「気にしないで。ただの家だ(It's just a house.)」
家が空の向こうへと消えていくのを見届け、微笑むおじいさん。
彼はもう、思い出に縛られた不機嫌なおじいさんではありませんでした。
大切なものを手放すことで、それ以上に大切な「今」を手に入れた、最高にジェントルな紳士へと生まれ変わったのです。
わたしたちは、何のために生き、何を守ろうとしているのでしょうか。
『カールじいさんの空飛ぶ家』を観た後、あなたの部屋にあるものたちが、少しだけ違って見えるかもしれません。
そして隣にいる誰かの体温を、もっと大切にしたくなるはずです。
終わりに📚
本日の映画評ではディズニー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』をレビューしました。
いかがでしたか?
日本語吹き替え版の『カールじいさんの空飛ぶ家』もAmazonプライムなどで視聴できます。
ぜひこころの充電に視聴してみてください。
この作品が気になる人に合わせておすすめしたい書評
書評を楽しく読んでくださった方に併せておすすめしたい、自身の書評をご紹介します。
-シスターフッドと同性愛の間を考える書評です。
-芥川賞候補につきリライトしました!
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-セルフケアに関心のある方は夏に向けてこちらを読んでみませんか?
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